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2014年4月12日 (土)

コンシェルジュ・ドクター

 みなさんは”コンシェルジュ・ドクター”をご存知ですか?
 日本の医療では、まずあり得ない制度です。
 ケガをしたときは、病院に行くとすぐに医者に診察してもらえます。
 風邪をひいて病院に行くと、診察は3ヶ月後だなんて言われたことはないと思います。

 国民健康保険や社会保険・退職者医療保険など、日本では全国民が何らかの保険に強制加入させられます。
 ところが、アメリカにはこのような保険制度はありません。
 保険は原則的に掛け金が高い保険会社の個人保険で、入りたければ加入すればいいし、必要ないと思えば加入しなくてもいいものです。
 でも保険に加入すれば、保険会社が医療費の一部を負担してくれます。

 アメリカの医療は、今やビジネスになっています。
 以前は一家に1人ホームドクター(かかりつけ医)がいて、彼らに診察してもらってそれぞれの病状の専門科医に紹介してくれるというのが、アメリカの伝統的なスタイルでした。
 ところが現在、ホームドクターが紹介しても専門医の診察までには数ヶ月から1年弱かかり、いざ診察を受ける日になっても3時間以上も待合室で待たされて診察時間はたった3分。

 ここに目をつけて生まれたのが、コンシェルジュ・ドクター。
 コンシェルジュとは、五つ星ホテルの接客係のこと。
 3分間じゃ患者さんの詳しい話を聴いて正しい診断を下すことができない。
 表向きは、「行き届いた医療の充実」でした。

 患者さんは診察を受けるために年会費(治療費は別にかかります)を支払って、会員登録をする。
 そうすると医者は24時間いつ何時でも診療に応じてくれます。
 年会費は安いところで1500ドル(15万円)。
 ニューヨークやロス・アンゼルスなどの大都会では、2万5000ドル(250万円)が相場です。

 これだけ払えば当日あるいは翌日、優先的に診察してくれます。
 さらにもう10000ドル(100万円)支払ってくれたら、携帯番号を教えて緊急の場合にも対応してくれます。
 ここまでくると、普通の市民は診察なんて受けられません。
 アメリカの医療は、一部の裕福な方のためにあるんです。

 ぼくが記憶している中では、1996年にシアトルで設立された「MDスクェア」という診療所がコンシェルジュ・ドクター医療の始まりです。
 この診療所は1人あたり1万5000ドル(150万円)、一家族あたり2万5000ドル(250万円)の年会費で、「主治医への無条件・無制限・独占的なアクセス」を保証してくれます。
 彼らのWEBサイトには「わが社が利便性とサービス・レベルを維持するには、選ばれた小数の方々の診察に専念することが必要不可欠です」とあります。
 まるで一流ホテルのような姿勢ですね。

 でも、ほとんどの患者さんは、そこに行くことさえできません。
 なぜなら、患者さんのほとんどは大手企業のオーナーであったり、CEO(最高経営責任者)であるからです。
 彼らは「病院に行くために1日わずか30分でさえつぶすのはもったいない。 代わりに自宅やオフィスで個人的に診察を受けたい」と言います。
 そんな方の要望を受けて生まれたコンシェルジュ診療所もあります。

 西海岸を拠点にするコンシェルジュ医療チェーン「MDVIP」です。
 この企業は年1800ドル(18万円の年会費で当日予約と迅速なサービス(電話をかけると2コール以内で出てくれる、専属のコールセンターを持っています)を提供し、所属する医者は受け持ちの患者さんを1人600名に限っているので、1人の患者さんに時間をかけることができます。
 「治療のためにお待ちいただくことはありません」というのがMDVIPのモットーです。
 この診療所の待合室には、フルーツサラダとスポンジケーキが置かれ、”Take flee(ご自由にどうぞ)”と書かれていますが、待ち時間がほとんどないため、これらに手がつけられることはほとんどありません。

 MDVIPに所属している医者は年会費を3分の2を手にし、残りは会社に収めるという仕組みになっています。 
 1人600人の患者さんを受け持っているということは、単純に計算しても年間60万ドル(6000万円)の収入になります。
 経済的余裕のある患者さんにとって、急がなくても取れる予約と24時間対応の医療サービスは、代価に見合うサービスとなっています。
 もちろん経済的余裕がなくても、数ヶ月という時間を待つことができれば病院での治療は受けられます。

 これは、ぼくの経験です。
 ぼくも1年間だけ、MDVIPに所属(提携というほうが正しいのかもしれませんが)していました。
 日本では病院に行けば、誰でもすぐに診察・治療が受けられるのが当たり前です。
 医療をほんの一握りのお金持ちのためのビジネスにすると、大問題になるでしょう。
 絶対に許されないですよね。
 中国の北京では、さらに驚く医療サービスビジネスが成立していますが、いつかまたお話したいと思います。
 
 
 
 
 

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